私たちのタイムラインには、今日も無数の「正解」が流れてくる。完璧な肌を作るスキンケア、人生を変えるマインドセット、幸福になるためのToDoリスト……。そして、その中でひときわ強く輝くのが、「いいね」や「シェア」の数で飾られた“バズった投稿”だ。
まるで、多くの人が「良い」と言っているものなら、きっと間違いないはずだと信じるように。私たちはその光に吸い寄せられ、タップし、共感し、そしてときに、自分の考えさえもその光の色に染めてしまう。しかし、バズの裏に潜む心理的な罠を、私たちはどこまで意識しているだろうか。
第一三共ヘルスケアの「Z世代セルフケア白書2025」によると、Z世代はバズ投稿をミドル世代の約4倍も信頼しているという。とはいえ、健康や美容に関する誤情報に触れる機会も1.5倍多い。情報の波を乗りこなしているつもりが、いつの間にか見知らぬ岸辺に打ち上げられている——そんな不安が、このデータからは静かに滲み出ている。
では、なぜ私たちはこれほどまでに「バズ」を信じてしまうのか。不特定多数の承認によって生まれたその熱狂は、本当に信頼に値するのか。そして、情報の洪水の中で自分を見失いそうになったとき、何を羅針盤にすればいいのか。本記事では、「バズへの信頼」と「推し活によるセルフケア」という二つの現象を通して、Z世代の心の在り方を静かに見つめていきたい。
「バズ」の引力:なぜ私たちは、みんなの「いいね」を信じてしまうのか

「バズ」という現象は、単なる拡散ではなく、現代社会における強力な心理的引力である。なぜなら、そこには古くから人間に備わった「群れとしての安心」を求める本能が深く関わっているからだ。
社会的証明の原理:赤信号、みんなで渡れば怖くない?
最も基本的な要因は、心理学でいう「社会的証明(Social Proof)」の働きだ。人は確信が持てない状況では、他者の行動を“正しい”とみなしやすい。見知らぬ街でレストランを探すとき、行列ができている店を選ぶのもその典型だ。つまり、多くの人が選んでいる=間違いない、という思考の近道を無意識に使っている。
しかし、SNSではこの原理が極端に増幅される。何万もの「いいね」やリポストの数字は、単なる数値ではなく“社会的な正解”として機能するのだ。その結果、私たちは内容そのものよりも「どれだけ共感を集めたか」という指標に心を奪われてしまう。
FOMO(取り残される恐怖)という名の引力
さらに、「FOMO(Fear Of Missing Out)」——取り残される恐怖も影響している。昨日まで誰も知らなかったミームが、今日には全員の話題になっている。だからこそ、知らないままでいることに不安を感じ、急いでその情報を取りに行ってしまう。なぜなら、話題の輪から外れることが、まるで“存在しない”ことのように感じられるからだ。
脳が喜ぶ“ショートカット”
一方で、私たちの脳は常にエネルギーを節約しようとする。情報の真偽を一つずつ確認するのは負荷が高い。だからこそ、「バズっている=正しい」という単純な判断ルート(ヒューリスティック)を使うのだ。しかも、何度も目にした情報は“親しみやすい”と感じる傾向があり、これを「認知容易性」という。つまり、アルゴリズムが繰り返し見せることで、脳がその情報を“真実らしく”感じてしまうのである。
とはいえ、こうした傾向は人間の自然な性質でもある。怠惰ではなく、むしろ効率の産物。だからこそ、冷静な距離を保つ“メタ視点”が必要なのだ。
正しさという名の幻影:「バズ」に潜む危うさ

とはいえ、バズがもたらす「正しさ」にはしばしば幻影が潜む。なぜなら、それは集団心理によって容易に歪められるからだ。
エコーチェンバーと沈黙の螺旋
SNSのアルゴリズムは、私たちが好む情報を優先的に表示する。結果として、似た価値観を持つ人々の意見ばかりが可視化され、異なる視点は排除されていく。これが「エコーチェンバー(反響室)」だ。やがて少数派の意見は沈黙し、沈黙そのものが「同意」に見える現象——「沈黙の螺旋」が起こる。
つまり、私たちが見ている“バズ”は、社会全体の声ではなく、限られた空間の熱狂である可能性が高い。にもかかわらず、それを世界の総意と誤解することで、思考が停止してしまう。
誤情報のパンデミック
さらに問題なのは、感情を強く揺さぶる情報ほど拡散されやすいという点だ。怒り・驚き・恐怖。この3つの感情は、シェア欲求を最も刺激する。だからこそ、センセーショナルな見出しや断定的な言葉ほど“バズ”を生みやすい。だがその裏で、正確さは犠牲になっていく。
また、訂正情報はほとんど拡散されない。人の記憶には最初のインパクトだけが残る。結局のところ、私たちは“感情の速度”に思考が追いつかないまま、誤情報を心の奥に刻んでしまうのだ。
感情の伝染と、思考の麻痺
そして、「情動伝染(Emotional Contagion)」が拍車をかける。誰かの怒りを見て自分も怒る。悲しみを見て沈む。そうして“同じ気持ち”の渦に巻き込まれると、冷静な分析は難しくなる。なぜなら、共感は連帯を生む一方で、思考を鈍らせるからだ。
嵐の中の錨:「推し活」という名の自己肯定
しかし、情報の嵐の中にも、静かな錨を下ろす方法がある。それが「推し活」だ。Z世代の6割が推しを持ち、その9割が“推し活”にセルフケア効果を実感しているという。
外的評価から内的評価へ
バズを信じる心理が「他人の評価」を基準にするのに対し、推し活は「自分の好き」を基準にする。つまり、他者の共感ではなく、自分の感情に価値を見出す行為だ。誰がどう言おうと、自分が好きだと思う——その確信こそ、揺るぎない自己肯定の根になる。
推しという“心のアンカー”
トレンドが移ろいやすい時代にあって、「推し」は心の羅針盤になる。なぜなら、推しの存在は常に“好き”の原点を思い出させてくれるからだ。周囲がどう変わろうと、自分の軸を保ち直すための錨になるのだ。
推し活がもたらす4つの心理効果
- 主体性と貢献実感: 推しを応援する行為は、受け身ではなく参加型の行動であり、「自分も力になれている」という実感を生む。
- 安全な人間関係: パラソーシャル関係は、現実の摩擦なしに繋がりを感じられる安全な関係性を提供する。
- 共感コミュニティ: 同じ“好き”で繋がるファン同士は、価値観を肯定し合う健全な共同体を形成する。
- ポジティブ感情のループ: 推しの成功を自分のように喜ぶ体験は、幸福ホルモンを促し、前向きな活力を生む。
静かに整える、小さなセルフケア
情報に疲れた夜は、心を落ち着ける小さな儀式を持とう。たとえば、お気に入りの香りで髪をととのえる、温かいドリンクで呼吸を整える。あるいは、外の評価から距離を取り、自分だけの“静かな美しさ”を取り戻す時間をつくる。
- ALBUMオンラインストア:プロ愛用のサロン発ヘアケアで、夜のリセットを。
- VINOM美容スムージー:1杯で必要栄養を満たす完全美容スムージー。
- VCリッチセラム:肌も気持ちも上向く新型ビタミンC美容液。
- ココナラ占い:第三者視点で思考を整理。夜の“外化”に最適。
- マッチングフォト:プロ撮影で“自分らしさ”を可視化。
結び:情報の海で、自分の「好き」を育てる

結局のところ、バズとは波のようなものだ。その光は魅力的だが、永続しない。だからこそ、流されず、波の“向こう”を見るまなざしが大切になる。
「バズ」を信じる心の危うさは、自分の舵を他人に預けてしまうことだ。とはいえ、「推し活」は逆に、自分の中に羅針盤を持つ訓練でもある。好きという感情を信じ、情報の波を読みながら、自分の航路を選ぶ。その営みこそ、Z世代の静かなレジリエンスなのだ。
あなたの心の中には、どんな“好き”があるだろうか。たとえ小さくても、その種に水をやり続けてほしい。やがてその根は深く伸び、情報の嵐の中でも倒れない一本の木となるはずだ。その木陰で、あなたは初めて、本当の意味で自分自身でいられる安らぎを見つけるのだろう。🌿
出典:第一三共ヘルスケア「Z世代セルフケア白書2025」


